現在、世界の注目すべき映画作家の一人は、デンマークのラース・フォン・トリアーであろう。彼は「奇跡の海」(1996年)で、その非凡な才能を世界に提示した。その後、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000年)で、ミュージカルというものの概念を根本から覆した、その功績は顕著である。また、「ドッグヴィル」(03年)では、上記2作と同様、悲劇に陥る女性を巧みに描き、さらには形式的に実験的な手法を用いて観客を驚かせた。デンマークの「ドグマ」運動の主宰者であり、フランス・ヌーヴェルヴァーグに匹敵するような新しい芸術運動を引き起こしたことで、映画史に残る映画作家の一人である。「奇跡の海」は、1970年代のスコットランドを舞台に、ヒロインのエミリー・ワトソンが工員と結婚し、その夫が工場で事故に遭い、性的不能者となる。夫はエミリーに他の男と肉体関係をもつように強請する。悩んだあげく、エミリーは夫への愛に応えるべく、売春行為を繰り返し、村中からそしりを受けることになる。信仰深いエミリーは、教会への不信感を募らせながら、売春行為がきっかけとなり、他界していく。これを悲しんだ夫らは、エミリーの亡骸を海上から葬る。すると、天空からエミリーの死を悼んでか、二つの鐘が連打される……。 「奇跡の海」は、各チャプターごとに背景画を用意し、さらに70年代に流行したエルトン・ジョンやプロコルハルムなどのロックの名曲を配する表現技法を用いており、かなり斬新である。 この作品で想起するのは、スウェーデンの映画監督、イングマル・ベルイマンの「処女の泉」(1960年)だ。同作品は16世紀のスウェーデンの片田舎を背景に、豪農の娘がある日、教会へ行く途中、森の中で3人の浮浪者らにレイプされ、殺害されてしまう。これを知った父親は、殺害現場で悲嘆にくれ、訴えかける。「この世に神は存在するのか」と。すると、少女の死体の下から、その問いかけに応えるように、泉がこんこんと湧き出してくる……。「奇跡の海」と「処女の泉」。この2つの作品に共通するのは、信仰とは何か、神は存在するのか、といった不変のテーマである。トリアー監督は、教会がらみではなく、エミリーの内なる神が存在しているのではないか、と主張しているように思われる。そのような意味では、ラストシーンの鐘はエミリー自身が鳴らしたのかもしれない。 一方、牧師の息子として生まれ育ったベルイマンは、「処女の泉」のなかで神の存在を否定的ながらも、肯定しているような側面が見受けられる。しかし、その後ベルイマンは「沈黙」などの作品で、神なき世界を表現する創作活動の時代へと突入していく。 [5段階評価] 「奇跡の海」……☆☆☆☆☆ 「処女の泉」……☆☆☆☆☆ 奇跡の海
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
奇跡の海
『奇跡の海』 ...続きを見る |
39☆SMASH 2005/11/19 23:44 |
★「奇跡の海」、救わない神★
「奇跡の海」(1996) デンマーク BREAKING THE WAVES 監督:ラース・フォン・トリアー 製作:ヴィベク・ウィンドレフ ピーター・オルベク・イェンセン 脚本:ラース・フォン・トリアー 撮影:ロビー・ミューラー 美術:カール・ユリウスン 音楽:レイ・ウィ... ...続きを見る |
★☆カゴメのシネマ洞☆★ 2005/12/02 22:51 |
☆トリアー監督という人☆
ラース・フォン・トリアーLars von Trier ...続きを見る |
★☆カゴメのシネマ洞☆★ 2005/12/02 22:55 |
『奇跡の海』 9P
私的オススメ度:9P ...続きを見る |
OL映画でいやし生活 2006/05/14 22:21 |
奇跡の海/ラース・フォン・トリアー
ベスとヤンの間に確かな愛を感じるのはなぜでしょうか。愛しすぎることは人を盲目にさせるのでしょうか。理屈を越えた思いに圧倒されました。 ...続きを見る |
文学な?ブログ 2006/08/04 00:41 |
奇跡の海
ラース・フォン・トリアー ...続きを見る |
undercurrent 2007/02/21 01:04 |
奇跡の海
コチラの「奇跡の海」は、またまたKaz.さんのご紹介で観てみましたぁ〜♪ 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、「ドッグヴィル」、「マンダレイ」のラース・フォン・トリアー監督の作品で、1996年のカンヌ映画祭の審査員特別グランプリ受賞作品です。 お話としては、7... ...続きを見る |
☆彡映画鑑賞日記☆彡 2007/10/23 00:07 |
DVD「奇跡の海」を観ました。2008年45本目
原題 : Breaking the Waves 製作年 : 1996年 製作国 : デンマーク 主演;エミリー・ワトソン (Beth) ステラン・スカルスゲールド (Jan) カトリン・カートリッジ (Dodo) ジャン・マルク・バール (Terry) エイドリアン・ローリンズ (Doctor Richardson) ...続きを見る |
Aspiring Bobby-dazz... 2008/04/27 01:14 |
奇跡の海
1996 デンマーク 洋画 ドラマ ラブロマンス 作品のイメージ:切ない 出演:エミリー・ワトソン、ステラン・スカルスガルド、カトリン・カートリッジ、ジャン・マルクバール ...続きを見る |
あず沙の映画レビュー・ノート 2009/01/31 19:56 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
こんにちわ〜★ヤフーの映画・俳優掲示板で毎度お世話になってます我愛羅(ヤフーIDはタクティクスです)です★ |
我愛羅 2005/11/13 00:49 |
我愛羅さん、早速の訪問ありがとうございます。全然コメントが入らなかったので、大変感謝しています。 |
デイヴィッド・ギルモア(当ブログ主) 2005/11/13 02:02 |
ホラー掲示板の方にも是非是非きて下さいな (人´∀`*).☆.。.:*・゜ |
我愛羅 2005/11/13 21:44 |
こんばんは! |
ちゃーはん 2005/11/13 22:39 |
タクティクスさん、再訪ありがとうございます。たった今、あなたのトピ「名作ホラー映画」に書き込みをしたところです。今度、前にも言いましたが、最近、はまっているゾンビ映画について書き込む予定です。 |
デイヴィッド・ギルモア 2005/11/14 21:58 |
こんばんは、ちゃーはんさん。初めて来てくれてありがとうございます。「輝きの海」は未見ですが、ネット検索したところ、英国作家、コンラッドの小説を映画化したようです。同作家の小説「闇の奥」をフランシス・F・コッポラ監督が映画化した名作「地獄の黙示録」は見たことがあります。では、では。 |
デイヴィッド・ギルモア 2005/11/14 22:10 |
ホラー掲示板来訪ありがと〜ございます(>_<) |
我愛羅 2005/11/15 14:12 |
たった今、ヤフー映画・俳優掲示板に書き込みしました。 |
デイヴィッド・ギルモア 2005/11/16 00:22 |
「キングダム」はですねー |
我愛羅 2005/11/17 22:53 |
タクティクスさん、全然コメントに気づかず、ごめんね。 |
デイヴィッド・ギルモア 2005/11/20 01:57 |
こんにちは。 |
マイコ 2005/11/20 12:52 |
マイコさん、コメントありがとうございます。 |
デイヴィッド・ギルモア 2005/11/21 22:34 |
検索で貴記事を発見!拝読させて頂きました。 |
カゴメ 2005/12/02 22:46 |
カゴメさん、コメントありがとうございます。 |
D.ギルモア 2005/12/03 02:03 |
『処女の泉』は未見なので、機会があったら見てみたいですね。とても興味のある題材ですし。 |
goma 2006/05/14 22:29 |
gomaさん、こんばんは。TB&コメントありがとうございます。 |
D.ギルモア 2006/05/14 23:13 |
>デンマークの「ドグマ」という芸術運動の一つの表れである |
goma 2006/05/17 01:39 |
gomaさん、こんばんは。再訪ありがとう!! |
D.ギルモア 2006/05/17 03:37 |
(-ω-;)ウーン確かに最後の鐘をどう解釈するかで大きく受け止め方の変わる映画ですよね。 |
miyu 2007/10/23 22:39 |
>みゆぽん、こんばんは。 |
D.ギルモア 2007/10/24 01:02 |
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