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help リーダーに追加 RSS 「トゥルーマン・ショー」

<<   作成日時 : 2006/08/05 01:23   >>

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画像名作「いまを生きる」(1989年、米)などで知られるオーストラリア出身のピーター・ウェアー監督が98年に撮ったヒューマン・ドラマ「トゥルーマン・ショー」(米、103分、パラマウント映画配給)。この映画は、マスコミに翻弄される主人公のトゥルーマン(ジム・キャリー)を通じてメディア社会とは何かを壮大なスケールで描いている。98年のアカデミー監督、脚本(アンドリュー・ニコル)、助演男優賞(エド・ハリス)の3賞にノミネートされた。

物語は周りを海で囲まれたシーヘブン島の町で、保険のセールスマンをしているトゥルーマン・バーバンクが、看護師の妻メリル(ローラ・リニー)や親友のマーロン(ノア・エメリッヒ)らとともに平凡な生活を送っていた。ところがある日、町や家族、友人など、すべてTV番組上のフィクションであることに気づいたトゥルーマンは、現実世界への脱出を試みるのだが……。

画像ここで、本作をストーリーの構成上から見ていこう。まず序盤だが、(24時間ライブTV番組「トゥルーマン・ショー」放映10909日目)、トゥルーマンおよびその家族、勤務する保険会社、交友関係などの説明的な描写が行われる。彼は毎朝、隣人らに「グッモーニング。君たちに会えない時のために、グッアフターヌーン、グッナイトも言っておこう」とあいさつする。彼はフィジー島へ行くことを夢見ている。これは一般論として、しがないサラリーマンの日常性からの脱出を表している。さらに、トゥルーマンはメリルやマーロンにもこのことを打ち明ける。彼の回想シーンで大学時代、メリルとの出会いが描かれる。しかし、彼の意中の女性は、同じ大学のシルビアだった。

中盤に入り、不意にトゥルーマンの様相が一変する。突然、彼の目の前にシルビアが現れ、「これは全部にせものなのよ!!」と指摘する。周囲の現実に対し不信感を募らせた彼はフィジーへ行こうと、シカゴ行きのバスに乗車する。しかし、運転手は役者が演じているため、発車することすらできない。また、終盤でも同じ役者が帆船を動かせようとするが、これも不可能だ。両シーンに何となく好感がもてる。その後、トゥルーマンは妻とともに車で町を脱出しようとするが、山火事や原発事故の発生でこれもできない。

画像一方、TV番組「トゥルーマン・ショー」のディレクター、クリストフ(エド・ハリス)は、トゥルーマンと彼の死んだはずの父親との再会シーンを設定。霧が立ち込める中のこの場面はエモーショナルだ。世界中の視聴者も感激する。視聴率のためには何でもするというTV局の実情をうまく反映し、また、非情な性格のディレクター役をエド・ハリスが上手に演じている。さらに、トゥルーマンが誕生してから約30年間、隠しカメラ5千台を用いながら、この番組が世界220カ国に放映され、シーヘブン島自体がスタジオに覆われていることが判明するが、この設定は作劇的に成功していると思う。

画像終盤ではまず、キャスターによるクリストフへのインタビューが行われる。これは映画のテーマと直結する重要なシーンだ。インタビュー中、かつてトゥルーマンの恋人役を務めたシルビアが急に割って入り、「彼をさらしものにするのは、やめて!あなたたちに彼をさらしものにする権利があるの?彼は自由のない囚人だわ!」と指弾する。これに対し、クリストフは「それは違う。現実の世界は病んでおり、理想郷であるシーヘブン島で彼は生きる目標をもち、私は彼に普通の暮らしを与えている」とこたえる。このセリフはマスコミのもつ傲慢さがよく表れていると同時に一種の説得力をもっている。

画像翌朝、トゥルーマンは「作り物の世界」から脱出を図る。ここからがクライマックスである。主役のいなくなったスタジオは大慌てだ。抗議の電話が殺到し、スポンサーからのクレームが入る。やがて、トゥルーマンが海上をヨットで逃走していることが判明。クリストフはヨットに稲妻や嵐を仕かける。何とも非情なTV番組の演出だ。視聴率はうなぎのぼりとなる。一夜明け、トゥルーマンは命をとりとめ、嵐の後の素晴らしい青空の下、航行を続ける.しかし、至福の時間もごくわずかで、ものすごい衝撃音とともに、壁に衝突したことが分かる。それはセットの壁だった。やがて、トゥルーマンはクリストフと対峙する。クリストフは「セットはにせ物だが、君は本物だ。外の世界はうそやまやかしだが、君の住む世界に危険はない」と説得。一方、トゥルーマンは「ぼくの頭の中に隠しカメラは入っていない」と主張する。

この様子を全世界の視聴者がかたずをのんで見守っている。結局、トゥルーマンはこの「作り物」の現実を受容する。そして例のセリフ、「グッモーニング!!会えない時のために〜」。このラストシーンで想起するのは作家・安部公房の小説「砂の女」である。同小説は砂丘の村を訪れた昆虫学者が、村人に拉致され、砂の穴の中で女と一緒の生活を余儀なくされる。最後に学者は自由の身になったものの、逃走せず砂の穴の中での生活を容認する、といった話だ。トゥルーマンも学者も人間にとって自由とは何かを認識した上での行動ではなかったのか、と思ってしまう。

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さらに、この映画の主たるテーマである「メディア社会」という問題。制作側は、島そのものを巨大なセットとし、トゥルーマンを除き、登場人物すべてが役者であるという壮大な仕かけを通して、痛烈に現代のメディアを風刺しているような気がする。絶えず監視され、センセーショナリズムのためには、何事も辞さないマスコミの横暴。しかし、そうした現状があるにもかかわらず、トゥルーマンのように容認せざるをえない今日的事実を、この映画では見事に描いていると思う。マスコミの発達とともに、最近は、ホーム・ページやブログなど、ネット社会が出現・発展し、評論家・大宅荘一風な言い方をしたら、「一億総メディア化」なのかもしれない。もしかしたら、われわれ一人ひとりが、トゥルーマンを演じている、と思えなくもないのだ。

[5段階評価]……☆☆☆☆

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トゥルーマンショー
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トゥルーマン・ショー(ネタバレ)
━━━━ あらすじ ━━━ 離島のシーヘブンで、保険会社のセールスマンとして毎日決まったような生活を平凡に過ごすトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)。彼は生まれてから1度も島から出たことがない。ある日、いつものようにキヨスクで新聞を買おうとした時に、目の前をホームレスの老人が通り過ぎた。それは幼い頃、海に沈み亡くなったはずの父親だった。しかし、その老人は間も無く何者かに連れ去られてしまう。彼は自分の周囲を不審に感じ始める。 ...続きを見る
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2008/01/16 23:22
『トゥルーマン・ショー』
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私の研究日記(映画編)
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