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help リーダーに追加 RSS 「死ぬまでにしたい10のこと」

<<   作成日時 : 2006/10/10 01:14   >>

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画像23歳の若さでがんを宣告されたヒロイン、アン(サラ・ポリー)の生き様を綴(つづ)ったヒューマン・ドラマ「死ぬまでにしたい10のこと」(原題=My life without me、2002年、106分、スペイン・カナダ、イザベル・コヘット監督脚本、ペドロ・アルモドバル製作総指揮、ナンシー・キンケイド原作、ジャン・クロード・ラリュー撮影、アルフォンソ・デ・ヴィラロンガ音楽)。この映画は、まるで黒澤明の「生きる」(1952年)のシチュエーションを意識したような作品となっている。死を目前にしたとき、人はどのように生きるのかをさりげなく描いている。

物語は母親の家の裏庭のトレーラーで、夫ドン(スコット・スピードマン)と娘2人の4人で暮らすアンがある日、病院でがんの宣告を受け、余命2、3カ月と告げられる。アンはノートに死ぬまでにしたい10項目をメモし、実行していくのだが……。

画像ここで、本作をストーリーの構成にしたがって見ていこう。まず序盤だが、冒頭アンの雨の中のシーンから始まる。「雨を感じる。生命のにおいがする」というモノローグ(独白)は詩的でロマンティックだ。そして、アンの仕事やパン屋で働く母親(デボラ・ハリー)、失業中の夫、2人の娘のことなど日常生活についての説明的描写が行われる。どこにでもあるような家庭をさりげなく演出している。リアリティがあり、説得力十分である。

やがて、ある日アンは倒れる。病院で検査を受け、卵巣に腫瘍(しゅよう)ができ胃に転移し、余命2、3カ月であることが担当医トンプソン(ジュリアン・リッチングス)によって知らされる。この医師の役者はかなりの性格俳優な感じがする。絶望感に打ちひしがれたアン。雨に打たれるシーンは、絶望感をさらに醸(かも)し出している。

画像中盤に入り、アンはコーヒー・ショップで、死ぬまでに娘たちを海に連れていくことや、ヘアースタイルを変えること、刑務所にいる父親に会いに行くこと、愛人をつくることなど10項目のしたいことをノートに綴る。アンは美容室に行き、髪形やネイルについて美容師に相談する。そして、ラウンジに行きラガー・ビールを注文する。そこで、再び美容師と会うことになる。

その晩、アンはコイン・ランドリーで測量技師のリー(マーク・ラファロ)と出会う。アンは疲れきってソファーの上で寝てしまう。心配そうにアンの寝顔を見つめるリー。センスのある音楽とあいまって、このシーンの映像はとても美しい。やがて、アンは目を覚まし、リーの存在に気づく。帰宅後、アンは洗濯袋の中にリーがくれた一冊の本を発見する。

画像アンは商店街をさまよう。「私が死んだあとも、商品は並び続けるのね」というモノローグは説得力がある。そして、アンは車の中で娘ペニーとパッツイーへ、自分の死後のためにメッセージをテープ・レコーダーに録音する。やはり、ここが中盤における一つのヤマ場である。娘たちにこれから送る誕生日に「ペニー、妹の面倒をみてね」「17歳のとき、私は結婚したのよ」などと、熱いコメントを吹き込む。かなり涙腺を刺激するシーンである。

やがて、アンはリーの自宅を訪れる。家具が一切ない殺風景な室内だ。そして2人は車内でリーの姉から送られた音楽テープを聴きながらキスをする。切ない状況のなかでの、一筋の希望を見出すシーンである…。その後、アンは病院で娘たちへの録音テープが入った包みを担当医に手渡す。帰路、スーパーマーケット店内をさまよう。客や店員らが踊りだす幻想シーンが挿入される。まるで、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見ているような雰囲気だ…。帰宅後、夫ドンは「君と出会えて幸せだった、たとえトレーラーの生活でも」と真情を告白する。ドンのアンに対する愛情が、ひしひしと伝わってくる。この夫の善人であるキャラは好感がもてる。

画像終盤で、アンは仕事中のリーとデートする。スペイン語の歌が流れるなか、2人はダンスする。帰宅してアンは隣に引っ越してきた女性とコーヒーを飲む。女性は看護師で、昔シャム双生児の出産に立会い、30時間後に双生児が死亡したと打ち明ける。アンはその話を聞いて涙を流す。アンにとっては、むごい話で、アンの悲惨な状況をたたみかけるようなストーリー展開だ。

♪私の愛を決して疑わないで。それだけは本当に信じて♪の歌声が流れるなか、アンは刑務所にいる父親に会いに行く。面会室でアンは窓越しに娘の写真を見せる。また夫のことなどについて話す。父親の自らの経験をふまえてのセリフ、「世の中には相手が望むような生き方ができない人間もいる」が印象的だ。

画像ドンや母親へのメッセージも録音したアンは、リーと車で港近くのレストランへ行く。途中、アンは83歳にもかかわらず現役で歌っている女性ジャズ歌手の話をリーから聞き感心する。レストランでリーは、「君とずっと一緒にいたい」と告白。そして、これは古典的な恋愛だとも。何となく、リーの気持ちが理解できる。2人が別れた後、リーはアンの夫が迎えにくるのをじっと見守る。「マディソン郡の橋」のノリである…。やがて、アンはリーに対してもメッセージを吹き込む。「失われた人生に何の未練もないわ。しかし、私も短い時間だったけど、あなたに恋に落ちたわ。人生は案外、素敵ね。あなたとのダンス、楽しかったわ…」。

この映画は、黒澤明の「生きる」とシチュエーションがよく似ているが、黒澤作品のような男性的で、哲学的な深みはない。しかし、原作者や監督が女性であることなどから、女性特有のきめ細やかな部分が見受けられる。また、ヒロイン・アンを通じて、1人の女性であることと、さらには<限りない母性>を感じてしまうのだ。

[5段階評価]……☆☆☆

死ぬまでにしたい10のこと
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死ぬまでにしたい10のこと
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しーの映画たわごと
2006/10/11 08:52
#560 死ぬまでにしたい10のこと
製作:エステル・ガルシア、ゴードン・マクレナン 製作総指揮:ペドロ・アルモドバル、アグスティン・アルモドバル、オグデン・ガヴァンスキ 監督:イザベル・コヘット 原作:ナンシー・キンケイド 脚本:イザベル・コヘット 撮影:ジャン・クロード・ラリュ 音楽:アルフォンソ・デ・ヴィラロンガ 美術:キャロル・ラヴァレー 編集:リサ・ジェーン・ロビンソン 衣装(デザイン):カティア・スタノ 出演者:サラ・ポーリー 、マーク ラファロ 、スコット・スピードマン 、レオノ... ...続きを見る
風に吹かれて-Blowin' in th...
2006/10/11 13:26
独断的映画感想文:死ぬまでにしたい10のこと
日記:2004年11月某日 映画「死ぬまでにしたい10のこと」を見る. 2002年.監督:イザベル・コヘット.制作は「トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバル. 原題は「私のいない我が人生」,題名か ...続きを見る
なんか飲みたい
2006/10/11 22:54
死ぬまでにしたい10のこと
【MY LIFE WITHOUT ME】2002年/カナダ 監督:イザベル・コヘット  出演:サラ・ポーリー/マーク ラファロ/スコット・スピードマン ...続きを見る
BLACK&WHITE
2006/10/11 23:32
死ぬまえにしたい10のこと(02・スペイン・カナダ)
こんな生き方は私にはできない、と思った。 こんな死に方もできない、と思った。 でもそれは違うと気付いた。 ...続きを見る
no movie no life
2006/10/12 00:10
死ぬまでにしたい10のこと
彼女は23歳。あと2ヵ月の命。初めて「生きる」と決めた。 2003年カナダ/スペイン 監督 イザベル・コヘット ...続きを見る
レンタルだけど映画好き 
2006/10/12 00:34
死ぬまでにしたい10のこと 〜DVDにて〜
  死ぬまでにしたい10のこと ・・・評価 3 ...続きを見る
三日月のしっぽ。
2006/10/12 12:37
死ぬまでにしたい10のこと
イザベル・コヘット監督作品(2002年・スペイン=カナダ) 原題は”My Life Without Me”。ペドロ・アルモドヴァル製作総指揮でレオノール・ワトリング、レオ様が出演しているという理由で観てみた。主人公アンの隣人アン役(ややこしいが同じ名前)のレオ様はベリーショートの髪型、かつお太りになられたようで、『トーク・トゥ・ハー』の衝撃がやや冷めてしまった。 ...続きを見る
CINEMA IN/OUT
2006/10/12 23:31
死ぬまでにしたい10のこと・・・・・・・・・
死ぬまでにしたい10のこと なんとなくタイトルが気になって借りてみた 「死ぬまでにしたい10のこと」 感動系の映画なのかなぁ? さてさて ...続きを見る
サクサクっと・・・
2006/10/13 23:28
死ぬまでにしたい10のこと
死ぬまでにしたい10のこと レンタルではいつも貸し出し中だったので、見るのをすっかり忘れていた。でも、観て良かった。 ...続きを見る
cinema note+
2006/10/14 09:25
死ぬまでにしたい10のこと
死ぬまでにしたい10のこと ...続きを見る
阿部健一郎BLOG Comedian o...
2006/10/14 10:51
死ぬまでにしたい10のこと
【2003年10月25日劇場公開】 【ジャンル:ドラマ】 【観た場所:レンタル・DVD】 面白かった度:★★★★ オススメ度:★★★★ もう一度観たい度:★★★ ...続きを見る
琴線〜心のメロディ
2006/10/14 22:58
「死ぬまでにしたい10のこと」 (2002)
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とりあえず生態学+
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ひらりん的映画ブログ
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映画鑑賞感想文『死ぬまでにしたい10のこと』
さるおです。 『MY LIFE WITHOUT ME/死ぬまでにしたい10のこと』を観たよ。カナダ発、優しくせつない人生の物語。 監督は、カタルーニャ(スペイン)生まれのイザベル・コヘット(Isabel Coixet)。 出演は、『THE ADVENTURES OF BARON MUNCHAUSEN/バロン』『EXOTICA/エキゾチ.. ...続きを見る
さるおの日刊ヨタばなし★スターメンバー
2006/10/15 22:42
★「死ぬまでにしたい10のこと」、男性諸君!刮目せよ★
「死ぬまでにしたい10のこと」(2003)&nbsp; カナダ/スペイン MY LIFE WITHOUT ME&nbsp;監督:イザベル・コヘット 製作:エステル・ガルシア ゴードン・マクレナン 製作総指揮:アグスティン・アルモドバルペドロ・アルモドバル オグデン・ギャヴァンスキー 脚本:イザ.... ...続きを見る
★☆カゴメのシネマ洞☆★
2006/10/23 22:43
死ぬまでにしたい10のこと
脚本仲間が良かったと言っていたので。 人は自分に死が宣告されたらどうするのだろう? ということにもちょっと興味がありました。 DVDで鑑賞。 ...続きを見る
映画、言いたい放題!
2007/10/31 17:01
死ぬまでにしたい10のこと:映画
今回紹介する映画は、イザベル・コイシェ、コヘット監督作品を紹介します。 だれもにいずれ訪れる死をテーマにした作品「死ぬまでにしたい10のこと」です。 まずは映画のストーリーから・・ 23歳という若さで、がんで余命2か月と宣告されたアン。 彼女はやり残したことをノートに10コ、書き留める。 オシャレのこと、ふたりの娘のこと、そして夫以外の男と付き合ってみること…。 リストを作ったときから、アンの平凡だった人生がイキイキと動きだした。 ...続きを見る
ジフルは映画音楽札幌グルメ紹介
2007/12/05 03:54

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。TBありがとうございました。
じわっと心に染み入るような作品でしたね。
アンにとっての10のことは、賛成しかねるものもありましたが、若い彼女にとって生きているうちにやっておきたかったことなのだと思うと全部やれてよかったね、と、今となっては言えます。
残された人にとっては、黙って逝ってしまわれたことで「してあげたかったこと」もあっただろうにと寂しい想いをしているんじゃないかと思いました。どうして黙ってたのときっと悲しい思いをしたんじゃないかな・・・。

色んなことをつらつらと考えてしまう作品です。
chibisaru
2006/10/11 14:03
TBありがとうございました.
サラ・ポリーは最近「アメリカ、家族のいる風景」を見ましたが,ここでも存在感のある演技でした.
今後いろいろな映画で見ることが楽しみな女優さんです.
ほんやら堂
2006/10/11 22:59
>chibisaruさん、こんばんは。

たしかに、この作品は心に染み入るような映画でしたよね。ぼくは、アンがテープレコーダーに録音している場面がジーンときました。また冒頭のアンが雨に打たれるシーンも詩的でよかった、と思いました。さらに、アンの中にある限りない母性というか、優しさを痛感しました。

それでは、また当ブログに遊びにきてくださいね。
D.ギルモア
2006/10/12 01:29
>ほんやら堂さん、こんばんは。いつもお世話になります。

サラ・ポリーが、あのゾンビ映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」に出てくるヒロインであったことは全然気づきませんでした。また、ヴェンダースの映画「アメリカ、家族のいる風景」は、前々から見たかったのですが、現在未見です。今度、当ブログで取り上げてみようと考えています。それにしても、この女優はホラーからヒューマンドラマまで、幅広い役者ですね。「死ぬまでに〜」での演技は素晴らしかったと思います。

それでは、また当ブログに遊びにきてくださいね。
D.ギルモア
2006/10/12 01:37
サラ・ポーリーの目がとっても良かったのを憶えています。子供を見つめる目、夫を見つめる目、どこか遠くを見つめる目…良い役者だと思います。
TBありがとうございました。
trichoptera
2006/10/15 01:47
>trichopteraさん、よーこそ、「シネ・ワン」の世界へいらっしゃいませ!!

本作でのサラ・ポリーの演技はなかなかのものだったと思います。ただ、少し歯ぐきというか、歯並びが悪かったのが残念だった、というような気がしました。

それでは、また当ブログに遊びにきてくださいね。
D.ギルモア
2006/10/15 07:12
原題の「My life without me」が劇中出て来る所で、ハッとした途端、涙が溢れました。
人生は死んで完全に終わってしまうのではなく、
死んだ後にも続く何事かがあるのではないのか?
そんな事をシミジミと思わせてくれる佳作ですね。
カゴメ
2006/10/23 22:48
>カゴメさん、こんばんは。毎度です。

たしかに、人生は死んで完全に終わるものでなく、サラ・ポリーのヒロインが行ったようなことが続いていく、といった印象がありましたよね。
それに、ぼくはサラが車の中でテープに吹き込むシーンに感銘を受けました。

それでは、またよろしくです!!
D.ギルモア
2006/10/24 00:38
ご無沙汰しております!
私も娘たちのためにせっせとテープ作成をするアン・・
泣けてきました。
この設定だけをとると生まれ来る子供のためにビデオ作成する父親の話、『マイライフ』を思い出しました。

ラストの方でアンがベッドに横たわっていて旦那や子供たちと友人が楽しそうに話しているのを見て「私がいなくてもこんな風に楽しくすごしてもらえますように・・・」と願ってるシーンがたまりませんでした。
ちゃーはん
2007/03/21 02:03
やあ、チャーちゃんおひさ!!

ぼくは、冒頭のシーンでサラが雨に打たれるシーンに感激しました。あのシーンは本当にすごいと思います。

それと、車の中でテープに吹き込むシーン。やはり、女性は偉大だなあという、限りない母性といったものを感じました。

それでは、また時間があったら、あなたのトピに遊びにいきますんで、よろしくです〜。
D.ギルモア
2007/03/21 03:24

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